氏次が入ってきて
氏次「適当に歌いすぎじゃね?」
福地「わ」
氏次「おかえりみのち」
福地「ただいまぁー」
氏次「もう大丈夫なの?」
福地「うん、元気」
氏次「元気ならいいんだけど」
福地「ん?」
氏次「何してんの?」
福地「片付け・・・あれ、なんか少し変じゃない?」
氏次「うん、俺、台本どおりのセリフ言ってないから」
福地「・・・・・・・?」
氏次「あのさー、片付けてるんじゃないんだろ?」
福地「片付けてるんだよ」
氏次「探してるんだろ?俺があげたストラップ。でもこのシーンにはまだないんだ。俺があげるのはこの後だから」
福地「・・・・・・そうかぁ、ないのかぁ。ずっとあると思ってた」
氏次「これ・・・」
氏次、カバンからストラップを出そうとするが、ストッキングしか出てこない。
氏次「んもうっ!・・・あった、これだ」
福地「なにこれ」
氏次「もう一年以上経ってるからちょっと壊れてるけど、同じやつだよ」
福地「汚いなぁー」
氏次「でもあげる」
福地「ありがとう」
氏次「もう失くすなよ」
福地「うん、その辺に置いとく」
氏次「なくなるだろ」
福地「うそだよ」
氏次「じゃあもう行くわ」
福地「行くの?」
氏次「うん、もうここは一年前になくなってるから」
福地「なくならないよ、ずっとあるんだよ」
氏次「でも、もう来ないから。少しだけど会えてよかった」
氏次、帰ろうとする。
福地「私、サトシのこと好きだったん・・・」
氏次「俺さぁ。これはセリフじゃなくて本当の言葉。俺、ちゃんと忘れるから。みのちの事、ちゃんと忘れる。一年前の台本の中のセリフも気持ちも全部忘れちゃうみたいにちゃんと忘れるからさ」
福地「・・・・・・・・・・・・わかった。ちゃんと忘れてね。きれいさっぱり、なかったみたいに。そしたらきっと、ちゃんとなかったことになるから」
氏次「うん」
福地「さよなら」
氏次「さよなら。・・・・・・芝居は終わりだ」
氏次、台本を破りはじめる。
福地、ホワイトボードに「暗転」の文字。

2人が目をあわせる中、ゆっくりと照明が落ちていく。
暗転。
芝居の終わり。
posted by 劇団ギャクギレ at 19:17| 北海道

|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
舞台写真
|

|